2010年トルコにおける日本年

- 筆とペンで国境を越えて -
Transcending Borders - The Art of Brush and Pen



「カリグラフィーの精神と世界」展について」
 本年イスタンブールのサバンジ美術館において4月14日から6月27日にかけて、「筆とペンで国境を越えて」展が開催されます。
そのプレイベントとしアタジャルン・トルコ大使のご好意を得てトルコ大使公邸にて2月18日、19日の2日間、
サバンジ美術館に展示するMGスクール・オブ・ラテンカリグラフィーの優秀な生徒の作品を展示する事になりました。

以下「筆とペンで国境を越えて」展についての趣旨と経緯をご説明いたします。


(親愛の歴史)
 オットマン帝国が明治の日本に送った友好使節団、エルトルール号が和歌山県串本沖で遭難して始まった
日本とトルコの友好の歴史の始まりから数えて120年が経ちました。 その間お互い親愛の念を持って友好を育んできました。



(2010年トルコにおける「日本年」について)

2010年になり、トルコにおける「日本年」がいよいよ開幕しました。
トルコ全土では70を超える色々な文化、社会、経済、政治面での企画が進んでおり、その中でも取り分け、
イスタンブールにある世界にも名高いサバンジ美術館において開催される「筆とペンで国境を越えて」展が注目を集めています。
この機会に日本のことをトルコの人にもよく知って欲しい、という願いからこのトルコ年の企画が始まりました。


(カリグラフィーを展示する意義)
 東洋の書の歴史に遡り今でも日本各地で書は日本文化の一部として大切にされていますが、それは西欧の世界、
そしてイスラムの世界でも同様です。サバンジ美術館は世界有数のイスラム・カリグラフィーのマニュスクリプトを所蔵しています。
原田観峰は日本で最大規模の書道団体の創設者で,京都の観峰美術館では彼の書のみならず
世界中のカリグラフィーに関連する文化紹介も観峰文化センターとともに行っています。
観峰文化センター傘下のMGスクール・オブ・ラテンカリグラフィーも西欧の中世以来のマニュスクリプトを多数所蔵しており、
日本で唯一の正統西洋書道を教える学校です。今回これら東洋、西洋、中東のカリグラフィーを通して、
歴史、文化は違えどもカリグラフィーにこめられた人々のこころは同じであるということを伝えたいと思います。

 


(MGスクール・オブ・ラテンカリグラフィー作品の特徴)

 トルコはアタテュルクによる建国(1923)以来、オットマン帝国時代のアラビア文字を西欧式のローマ字に変えました。
現在トルコの学校教育は全てローマ字で行われ、アラビア文字を解読する人は皆無といっていい状況ですが、
カリグラフィーの世界だけは未だに解読できないアラビア文字で書くのが慣わしにな ってます。
これではカリグラフィーがトルコ人にとって遠い存在になってしまいます。
今回MGスクール・オブ・ラテンカリグラフィーでは、80名の生徒のうち優秀な21名の作品が選ばれ
アタテュルクの格言やトルコの伝統的な詩、格言をローマ字で表記する始めての試みを行いました。
トルコでも見ないこのような現代カリグラフィーを日本の優れたアーティストが書いたということだけで画期的な試みであります。
トルコの人々がこれを見て、自分たちの文化についてより開明的に刺激を受けることを期待しています。


(最後に)
 MGスクール・オブ・ラテンカリグラフィーの優秀な生徒が心を込めて、日本友好親善のために
トルコ人も未だ試みていないトルコの格言・詩を現代トルコ語で綴ったカリグラィーの作品を通じ
「日本年」の機会にトルコの人々と交流できればこれに勝ることはありません。